五所川原での朗読会

11月29日、太宰が生まれた青森県五所川原の地で、

「生誕110年スペシャルイベント 朗読と音楽の夕べ」が行われました。

朝から時折雪が激しく降るお天気でしたが、会場のエルム文化センターホールには、何と200名ものお客様がお越しくださいました!

 

このお話をいただいたのは夏でした。

帰省した際に打ち合わせをさせて頂き、概要を決めたのですが、

何しろ青森と東京で離れているものですから、その後の打ち合わせは電話やメール。

ピアノの小松由美子さんには、私の朗読音源をお送りして聴いていただき、曲想をイメージしていただいて、当日リハで合わせる・・という風に進めていきました。

 

一部は。「少年太宰」というテーマで、太宰が幼い頃の思い出や

学生時代に書いた作品などを、短めに朗読。その合間に、地元の郷土史家・荒関勝康氏の解説動画が入る。。という構成でした。

一部では4つの作品を読んだのですが、うち二つに 太宰の叔母キエさんが登場し、いかに太宰がキエさんを慕っていたかが窺えます。青森中学時代に書かれた「口紅」も、主人公の下宿に母親が10年ぶりに訪ねてくる・・というお話で、やはり母親への愛情に飢えていた・・と思わせるのです。

朗読会というには、少し講座の要素の強い一部ではありました。

 

続く二部では、しっかり朗読をお聴きいただきました。

選んだのは「やんぬる哉」。昭和21年に発表されていて、太宰が津軽に疎開していた頃のエピソード・・という体を取っています。

ここに登場する、感じの悪い(笑)医師夫婦の台詞を津軽弁で表現しました。

想像ですが、疎開中 太宰一家もかなり肩身の狭い思いをしたのではないでしょうか・・・そんなことを思わせる作品です。

 

三部はジャズの演奏をお楽しみいただきました。

ベース・阿部成人さん、ピアノ・小松由美子さんによる息の合った

演奏に、会場からは手拍子も起こりました♪

そして最後の四部は、朗読とピアノによる「葉」の抜粋朗読。

「葉」は、昭和9年に書かれた太宰初期の作品で、沢山のモチーフがオムニバス形式で綴られています。

ここから5つほどのモチーフを抜粋し、ピアノ演奏で雰囲気を盛り上げていただきました。

小松さんは色々な方と共演されているベテランのピアニストさんで、お会いするのは2回めながら、こちらの意図をすぐに理解してくださり、

安心して朗読することができました。

 

この公演にあたりご尽力くださった「奥津軽講座」の角田周さん始めスタッフの皆様、エルムの皆様、共演者の皆様、音響の阿部さま、

そしてラジオ放送をしてくださる「エフエム五所川原」さま、

雪の中をお越しくださった沢山のお客様、本当にありがとおうございました!!!