太宰治生誕115年記念朗読会、今年は6月18日に金木の芦野公園「駅舎」さんで、19日は青森市の「スケルツォ2」さんで行いました。
まずは金木公園のご報告です。その前に・・・
実は稽古をしているうち、どうしても小泊を再訪してから本番に臨みたいという思いが強くなりまして・・・東京から車で駆けつけてくださることになっていたNさんに相談したところ、何と彼女も小泊には是非行きたいと思っていたことがわかり!急遽16日の夜中に東京を発って17日の朝、小泊に行くことにしました。Nさんは私のために車の後部座席を寝台列車のごとく整えていてくださり、私は横になって過ごすことができました。Nさんには本当に感謝しかありません。
小泊には朝9時ごろに着きました!「津軽の像記念館」を久しぶりにゆっくり見学して、数日前にお手紙で小泊訪問を伝えていたYさんにお電話。程なくYさんは、ある方とともに記念館にきてくださいました。その方とは・・
太宰の子守りをしていた越野たけさんのお孫さんY子さんでした!有難いことに、お二人は太宰とたけさんが再会した運動場や龍神様、たけさんの家の跡地やタバコ店、バス停。竹さんのお墓まで色々と案内してくださったのです!!
このことが、翌日の朗読に大きな影響を与えてくれたのはいうまでもありませんでした。本当にありがとうございました。
18日。25名様でいっぱいの喫茶店「駅舎」には県内を始め、東京や秋田・岩手からもお客様がお越しくださっていました。
90分の公演時間内には津軽鉄道が計4回入線します。
その度に、朗読する私の後ろにある窓からオレンジ色の車体がはっきり見えるのです。
また店内には大きな柱時計があってカチカチと音を刻んでいます・・・。BGMもなく、照明もなく、自然の光と音と後は私の声だけが店内に響く時間・・・そう、私はこんな朗読会をしたいといつも思っているのです!
メインの作品は「津軽」。まさに前日訪れた小泊が出てくる、太宰とたけさんの再会場面が中心です。
どの文章を語っても前日の様子がありありと浮かんできて、
いつも思いがこもる作品ではありますが、この日は殊更でした。お客様もきっとそれを感じ取ってくださったことと思います。朗読者冥利に尽きる時間でした・・・。
こちらが、小泊を案内してくださったYさんとたけさんのお孫さんのY子さんです。
太宰とたけさんゆかりの場所に行くたびに、思わず私は「津軽」の一節を口にしてしまったのですが、Y子さんはそれを見て驚いていらっしゃるようでした。「全部暗記しているのですか?」と・・・。もちろん全部などは暗記しておりませんが、大切に繰り返し繰り返し読んでいる部分は、かなり頭に入ってしまうようです。
そういえば私の師匠・幸田弘子先生も樋口一葉作品などは殆ど暗記していらっしゃった・・・。と、そんなことも思い出しました。
朗読とは、単に作品の文章を正確に美しく読み上げるだけではないのです。作品について深く考え、理解しようと努力し
自分に落とし込み、可能ならばその作品の舞台となった土地を訪れて感じ取る・・その作業を経てから出てくる音や表現は、何もしないでただ読む稽古だけを積んで出るものとは
全くと言って違うと私は思います。
18日の公演のことは、NHK青森さんが翌日のニュースで何度も放送してくださいましたし、東奥日報さんは19日のコラムで身に余る記事を書いてくださいました。誠にありがとうございます。
さあ、次の日はいよいよ桜桃忌です。
ブログも次に続きます!
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